「朝鮮学校外し」は憲法に反する暴挙 李春熙 (弁護士、外国人学校ネット運営委員)
中井洽拉致担当大臣からの要請を契機に、民主党政権の目玉政策の一つである「高校無償化」制度から、朝鮮学校を排除する動きが表面化しており、本日(3月8日)現在も、国会審議が続いている。しかし、等しく各種学校としての認可を受けている外国人学校のうち、朝鮮学校のみを高校無償化制度の対象から排除することは、単に不当であるのみならず、違憲、違法な差別的措置である。
言うまでもなく、国際人権諸条約や日本国憲法の規定からは、朝鮮学校に通う外国籍の子供らにも、当然に学習権が保障されている。そして、この学習権保障の場面において、朝鮮学校のみを狙い撃ちにして制度の対象外とすることは、不合理な差別的取扱いとして、法の下の平等を定める日本国憲法にも違反するものである。
これまでも、朝鮮学校は数多くの差別的取扱いを受けてきた。90年代半ばまでは高体連主催のスポーツ大会への参加資格がなかった。JR学割定期券の適用を受けられない時期もあった。03年の制度改正まで朝高卒業生には国立大学の受験資格が認められなかった。そして、これまで朝鮮学校に対する国庫からの助成は一切行われていない。
これらの場合、朝鮮学校が各種学校であり、日本の正規の学校(一条校)ではないという理由で、差別的取扱いが正当化されてきた。しかし、今回の高校無償化問題における朝鮮学校外しは、一条校と朝鮮学校(各種学校)との間のみならず、等しく各種学校である他の外国人学校との間でも差別的取扱いを行うものであって、その違法性は甚大である。
当初、高校無償化制度の対象には、各種学校としての認可を受けた外国人学校も含まれるものとして制度設計がなされていた。高校無償化法案第2条1項は、制度の対象となる「高等学校等」に、「高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定める」各種学校が含まれるものと規定しており、2009年に文部科学省が財務省に提出した概算要求においても、朝鮮学校等の外国人学校を含めるものとして試算されていた。
それにも関わらず、法案提出段階になって朝鮮学校のみを排除することは、政府がいかに粉飾しようと、「拉致問題」などの政治的理由によるものとしか考えられない。もちろん、子どもの学習権を保障するための制度について、このような政治的理由による差別的取扱いが正当化されるはずがない。
なお、政府は「朝鮮民主主義人民共和国と日本との間に国交がなく、教育課程等が確認できない」との説明も行っているようだが、朝鮮学校と同様国交のない台湾系の中華学校については高校無償化制度の対象とすることが想定されているのだから、この説明は合理的なものとは言いがたい。
今回の「朝鮮学校外し」は、どのように言いつくろおうとも正当化することは不可能であり、仮にこれが強行されれば、公権力による積極的な人種差別行為であって、国際人権諸条約や日本国憲法にも反する暴挙と言わざるを得ない。
言うまでもなく、国際人権諸条約や日本国憲法の規定からは、朝鮮学校に通う外国籍の子供らにも、当然に学習権が保障されている。そして、この学習権保障の場面において、朝鮮学校のみを狙い撃ちにして制度の対象外とすることは、不合理な差別的取扱いとして、法の下の平等を定める日本国憲法にも違反するものである。
これまでも、朝鮮学校は数多くの差別的取扱いを受けてきた。90年代半ばまでは高体連主催のスポーツ大会への参加資格がなかった。JR学割定期券の適用を受けられない時期もあった。03年の制度改正まで朝高卒業生には国立大学の受験資格が認められなかった。そして、これまで朝鮮学校に対する国庫からの助成は一切行われていない。
これらの場合、朝鮮学校が各種学校であり、日本の正規の学校(一条校)ではないという理由で、差別的取扱いが正当化されてきた。しかし、今回の高校無償化問題における朝鮮学校外しは、一条校と朝鮮学校(各種学校)との間のみならず、等しく各種学校である他の外国人学校との間でも差別的取扱いを行うものであって、その違法性は甚大である。
当初、高校無償化制度の対象には、各種学校としての認可を受けた外国人学校も含まれるものとして制度設計がなされていた。高校無償化法案第2条1項は、制度の対象となる「高等学校等」に、「高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定める」各種学校が含まれるものと規定しており、2009年に文部科学省が財務省に提出した概算要求においても、朝鮮学校等の外国人学校を含めるものとして試算されていた。
それにも関わらず、法案提出段階になって朝鮮学校のみを排除することは、政府がいかに粉飾しようと、「拉致問題」などの政治的理由によるものとしか考えられない。もちろん、子どもの学習権を保障するための制度について、このような政治的理由による差別的取扱いが正当化されるはずがない。
なお、政府は「朝鮮民主主義人民共和国と日本との間に国交がなく、教育課程等が確認できない」との説明も行っているようだが、朝鮮学校と同様国交のない台湾系の中華学校については高校無償化制度の対象とすることが想定されているのだから、この説明は合理的なものとは言いがたい。
今回の「朝鮮学校外し」は、どのように言いつくろおうとも正当化することは不可能であり、仮にこれが強行されれば、公権力による積極的な人種差別行為であって、国際人権諸条約や日本国憲法にも反する暴挙と言わざるを得ない。