国連人種差別撤廃委員会(CERD)の日本政府報告書審査
以下の記録は、現場(ジュネーブ 2月24日)でのメモと記憶に依拠していますが、正確さの保証はありません。CERDのおおよその雰囲気を伝えるものということでご了解願います。(東京造形大学教授 前田朗)
日本政府報告書担当のパトリック・ソンベリ委員(連合王国)が、おおむね次のように包括的な発言をしました。
―具体的内容にはいる。日本政府報告書には統計がたくさん出て来るが、民族について調査がない、国勢調査がない、意味ある統計数字を知りたい。コリアンは60万人で40万人が特別永住者というが、帰化もいる、全部で100万ほど居るだろうが、統計がない。プライヴァシーの問題があるが、調査が必要。実態把握のために、例えば言語の使用について調べるなどの工夫も可能だ。
―日本には包括的な人種差別禁止法がない。必要ないと考えているようだが、憲法14条の平等規定があるが、これは範囲が狭い、十分カバーされていない、条約と重複はあるが、条約よりも制限された範囲である。また、私人の行為に適用する問題がある。国家の行為だけでなく、人や団体も対象である。私人の行為について、ほとんどの国家は直接に差別的な法律を持っていないが、むしろ私人の行為、間接差別が重要である。間接差別は条約にはないと思うかもしれないが、CERDは意図的差別、差別的効果に着目して、間接差別も検討している。
(中略)
―憎悪に基づく差別的言動について、私人間の名誉毀損として扱っているが、集団に対する差別には対応できていない。人種差別の煽動について4条a、この点が重要だ。4条は高い重要性をもち、人種差別と闘うことができる。確かに表現の自由はあるが、無制限ではない。開かれた議論が必要である。特定集団に対する差別、あからさまな差別を認識しているか。・朝鮮人については、前回の審査でも話題になった。帰化の際の氏名変更や、定住者とか永住者というカテゴリーもある。1952年、外国人登録法によって、50万の外国人が一夜にして生まれた。これはいったいどういうことか。日本国民とも、他の外国人とも違う存在がつくられた。政治的権利は区別する必要もあるかもしれないが、しかし人権という観点ではできるだけ幅広い枠組みで認めるべきである。
(中略)
―特別永住者には帰化を望んでいない人がたくさんいるが、なぜなのか不思議である。名前を変更しなければならないからか。同化の問題があるのか。エスニック・マイノリティの権利に注意が向けられていない。エスニック・マイノリティの権利を保障すれば多くが日本人になるのではないか。
―在日朝鮮人について、公教育の教育課程の中で、マイノリティの教育をどうしているのか。歴史では、さまざまな民族が日本建設に貢献したことを教えているのか。すべての子どもに歴史、文化、言語を保証しているのか。
―朝鮮学校は不利な状況に置かれている。税制上の扱いも不利になっている。
―マイノリティの参画のデータがない。国籍というスクリーニングで、民族的データがない。
―いくつかの条約機関から国内人権委員会の設置を勧告されてきたが、人権擁護に努めるといっているのに、人権委員会がない。マイノリティにもっと光を当てるべきだ。ダーバン人種差別反対世界会議・行動計画に相当するような計画が日本にはない。
―全体的社会的状況だが、公開されている場所での差別がある。条約5条fの問題だが、多くの国の経験と同様に、入場拒否があるが、こうした入場拒否を不法とし、処罰しているのか。憎悪に基づく言動にあまりに寛容ではないか。何度も何度も指摘されてきたことなのに、マスコミや政治家発言で差別がなされている。
○イオン・ディアコヌ委員(ルーマニア)-朝鮮学校はどうなっているのか。他の学校と同等になってきたというが、全体はどうなのか。大学受験資格を認めないことは、ペナルティを課していることになるのではないか。朝鮮学校生徒に対する嫌がらせや攻撃について、処罰しているのか。朝鮮学校はよりよく保護するべきである。最近、日本と朝鮮政府の関係が悪化しているが、それを理由に朝鮮学校に影響を及ぼしているのではないか。国際関係が日常生活に影響を与えてはならない。まして子どもに影響を与えるべきではない。朝鮮学校だけ免税措置を講じていないのは差別ではないのか。
○アレクセイ・アフトノモフ委員(ロシア)--(日本語を話せないがある程度読める。大船に住んでいたことがある)--高校無償化問題で(中井)大臣が、朝鮮学校をはずすべきだと述べている。すべての子どもに教育を保証するべきである。朝鮮学校の現状はどうなっているのか。差別的改正がなされないことを望む。今朝、新聞のウエブサイトを見たところだ。
日本政府報告書担当のパトリック・ソンベリ委員(連合王国)が、おおむね次のように包括的な発言をしました。
―具体的内容にはいる。日本政府報告書には統計がたくさん出て来るが、民族について調査がない、国勢調査がない、意味ある統計数字を知りたい。コリアンは60万人で40万人が特別永住者というが、帰化もいる、全部で100万ほど居るだろうが、統計がない。プライヴァシーの問題があるが、調査が必要。実態把握のために、例えば言語の使用について調べるなどの工夫も可能だ。
―日本には包括的な人種差別禁止法がない。必要ないと考えているようだが、憲法14条の平等規定があるが、これは範囲が狭い、十分カバーされていない、条約と重複はあるが、条約よりも制限された範囲である。また、私人の行為に適用する問題がある。国家の行為だけでなく、人や団体も対象である。私人の行為について、ほとんどの国家は直接に差別的な法律を持っていないが、むしろ私人の行為、間接差別が重要である。間接差別は条約にはないと思うかもしれないが、CERDは意図的差別、差別的効果に着目して、間接差別も検討している。
(中略)
―憎悪に基づく差別的言動について、私人間の名誉毀損として扱っているが、集団に対する差別には対応できていない。人種差別の煽動について4条a、この点が重要だ。4条は高い重要性をもち、人種差別と闘うことができる。確かに表現の自由はあるが、無制限ではない。開かれた議論が必要である。特定集団に対する差別、あからさまな差別を認識しているか。・朝鮮人については、前回の審査でも話題になった。帰化の際の氏名変更や、定住者とか永住者というカテゴリーもある。1952年、外国人登録法によって、50万の外国人が一夜にして生まれた。これはいったいどういうことか。日本国民とも、他の外国人とも違う存在がつくられた。政治的権利は区別する必要もあるかもしれないが、しかし人権という観点ではできるだけ幅広い枠組みで認めるべきである。
(中略)
―特別永住者には帰化を望んでいない人がたくさんいるが、なぜなのか不思議である。名前を変更しなければならないからか。同化の問題があるのか。エスニック・マイノリティの権利に注意が向けられていない。エスニック・マイノリティの権利を保障すれば多くが日本人になるのではないか。
―在日朝鮮人について、公教育の教育課程の中で、マイノリティの教育をどうしているのか。歴史では、さまざまな民族が日本建設に貢献したことを教えているのか。すべての子どもに歴史、文化、言語を保証しているのか。
―朝鮮学校は不利な状況に置かれている。税制上の扱いも不利になっている。
―マイノリティの参画のデータがない。国籍というスクリーニングで、民族的データがない。
―いくつかの条約機関から国内人権委員会の設置を勧告されてきたが、人権擁護に努めるといっているのに、人権委員会がない。マイノリティにもっと光を当てるべきだ。ダーバン人種差別反対世界会議・行動計画に相当するような計画が日本にはない。
―全体的社会的状況だが、公開されている場所での差別がある。条約5条fの問題だが、多くの国の経験と同様に、入場拒否があるが、こうした入場拒否を不法とし、処罰しているのか。憎悪に基づく言動にあまりに寛容ではないか。何度も何度も指摘されてきたことなのに、マスコミや政治家発言で差別がなされている。
○イオン・ディアコヌ委員(ルーマニア)-朝鮮学校はどうなっているのか。他の学校と同等になってきたというが、全体はどうなのか。大学受験資格を認めないことは、ペナルティを課していることになるのではないか。朝鮮学校生徒に対する嫌がらせや攻撃について、処罰しているのか。朝鮮学校はよりよく保護するべきである。最近、日本と朝鮮政府の関係が悪化しているが、それを理由に朝鮮学校に影響を及ぼしているのではないか。国際関係が日常生活に影響を与えてはならない。まして子どもに影響を与えるべきではない。朝鮮学校だけ免税措置を講じていないのは差別ではないのか。
○アレクセイ・アフトノモフ委員(ロシア)--(日本語を話せないがある程度読める。大船に住んでいたことがある)--高校無償化問題で(中井)大臣が、朝鮮学校をはずすべきだと述べている。すべての子どもに教育を保証するべきである。朝鮮学校の現状はどうなっているのか。差別的改正がなされないことを望む。今朝、新聞のウエブサイトを見たところだ。