高校無償化/朝鮮学校外しは筋が違う(神戸新聞2月26日)
高校無償化法案がきのう、衆院で審議入りした。公立高校では授業料を徴収せず、私立高生らには「就学支援金」を支給して授業料負担を軽減する内容である。新学期に向け、政府、与党は来月末までの成立をめざしているが、その審議をめぐって新たな問題が浮上した。先日、中井洽拉致問題担当相が在日朝鮮人の子女が学ぶ朝鮮学校を対象から外すよう川端達夫文部科学相に要請したのだ。
法案では、無償化の対象になるのは公私立高校だけでなく、日本の高校と同等とみなされる「各種学校」にも適用される。私立同様、所得に応じて年額約12万~24万円の「就学支援金」が支給される。朝鮮学校も学校教育法でその「各種学校」に位置づけられる。ただ、政府は日本の高校と同等かどうかの判断基準を4月までに省令で定める方針を示しており、これに中井担当相が議論を投げかけた形だ。
中井担当相は対北朝鮮強硬派で知られ、超党派の拉致救出議連の会長代行を務めている。拉致問題が全く進展しない現状を憂え、より強い姿勢を示すために「朝鮮学校外し」を打ち出したようだが、筋が違うと言わざるを得ない。川端文科相も「外交上の配慮などは判断基準にならない」と答えている。当然の判断だろう。
この問題は、ジュネーブでおととい開かれた国連人種差別撤廃委員会でも取り上げられ、複数の委員が懸念を表明し、日本に説明を求めた。与党内からも疑問の声が上がっている。ここは政治とは切り離し、教育的観点から審議を行うべきだ。
各都道府県の認可を受けた朝鮮学校は現在、73校を数え、うち日本の高校に当たる高級学校は12校ある。兵庫県内では7校あり、うち1校が高校に当たる。朝鮮学校が無償化の対象外となれば、国内で新たな差別を生み出し、北朝鮮が激しく非難してくるのは間違いない。拉致問題の解決がさらに遠ざかる恐れもある。ましてや、核・ミサイル、拉致問題を包括的に話し合う6カ国協議の再開に向け、米国と中国が水面下で交渉中の重要なときだ。足並みを乱さず、拉致問題はあくまでも外交交渉で強く迫る姿勢を求めたい。
憲法は「国民は」としながらも「ひとしく教育を受ける権利」を保障し、教育基本法も機会均等を掲げる。無償化法案は、その理念に基づく制度である。朝鮮学校の生徒にも分け隔てない扱いをすべきだ。
法案では、無償化の対象になるのは公私立高校だけでなく、日本の高校と同等とみなされる「各種学校」にも適用される。私立同様、所得に応じて年額約12万~24万円の「就学支援金」が支給される。朝鮮学校も学校教育法でその「各種学校」に位置づけられる。ただ、政府は日本の高校と同等かどうかの判断基準を4月までに省令で定める方針を示しており、これに中井担当相が議論を投げかけた形だ。
中井担当相は対北朝鮮強硬派で知られ、超党派の拉致救出議連の会長代行を務めている。拉致問題が全く進展しない現状を憂え、より強い姿勢を示すために「朝鮮学校外し」を打ち出したようだが、筋が違うと言わざるを得ない。川端文科相も「外交上の配慮などは判断基準にならない」と答えている。当然の判断だろう。
この問題は、ジュネーブでおととい開かれた国連人種差別撤廃委員会でも取り上げられ、複数の委員が懸念を表明し、日本に説明を求めた。与党内からも疑問の声が上がっている。ここは政治とは切り離し、教育的観点から審議を行うべきだ。
各都道府県の認可を受けた朝鮮学校は現在、73校を数え、うち日本の高校に当たる高級学校は12校ある。兵庫県内では7校あり、うち1校が高校に当たる。朝鮮学校が無償化の対象外となれば、国内で新たな差別を生み出し、北朝鮮が激しく非難してくるのは間違いない。拉致問題の解決がさらに遠ざかる恐れもある。ましてや、核・ミサイル、拉致問題を包括的に話し合う6カ国協議の再開に向け、米国と中国が水面下で交渉中の重要なときだ。足並みを乱さず、拉致問題はあくまでも外交交渉で強く迫る姿勢を求めたい。
憲法は「国民は」としながらも「ひとしく教育を受ける権利」を保障し、教育基本法も機会均等を掲げる。無償化法案は、その理念に基づく制度である。朝鮮学校の生徒にも分け隔てない扱いをすべきだ。